5. 獲得免疫「Th1細胞」と「Th2細胞」の働き
ヘルパーT細胞が持つ2つの顔
ヘルパーT細胞は、抗原の種類によって、Th1細胞になるか、Th2細胞になるかが変わります。
細菌・ウィルス担当のTh1細胞
まずは、Th1細胞の働きから見ていきましょう。
Th1細胞は、細菌やウィルスなどの異物に対して反応します。
敵を退治するためにB細胞へ「どんな敵なのか」を知らせ、抗体(武器)を作るよう指示を出します。B細胞は、作った抗体で敵を退治していきます。一方で、1度作った抗体は記憶しているため、同じ敵が二度と侵入してこさせないように見張ります。(抗原抗体反応)
Th1細胞は、B細胞だけでなく、キラーT細胞やNK細胞、マクロファージなどの細胞を活性化(指示を出す)させて、細菌やウィルスを食べてやっつけたり(貪食作用)、ときには武器(消化酵素など)を用いて破壊したりします。
Th1細胞が指令を出す際に分泌するのが、「IFN-γ(インターフェロンガンマ)」というサイトカイン(生理活性物質)。このサイトカインによる指令がなければ、B細胞やキラーT細胞たちは敵を攻撃することができません。
花粉やダニ、ホコリなどのアレルゲン担当はTh2細胞
一方の「Th2」細胞は、ダニやカビ、花粉などのアレルゲンに反応します。
B細胞を活性化させて、抗原を退治するため抗体をつくります。
その際、指令物質として、「Th2細胞」からは「IL-4(インターロイキン4)」が分泌され、B細胞に抗体を作るよう指示を出します。
免疫バランスが崩れ、Th2細胞が過剰になるとアレルギー症状が起こるのです。
しかし本来、体は、どちらか一方の反応が過剰にならないように、それぞれの細胞から分泌される「IFN-γ」と「IL-4」のサイトカインがお互いの働きを抑制し合うようにも働いています。そうして、Th1細胞とTh2細胞による獲得免疫のバランスは保たれているのです。
じゃなんでアレルギー反応が過剰になっている人が多いのかしら?
『「免疫を高める」と病気は必ず治る』 安保徹・福田稔〔監修〕マキノ出版
『安保徹の食べる免疫力』 安保徹 世界文化社
『アトピー・アレルギー克服応援ブック』〔NPO法人〕アトピッ子地球の子ネットワーク