6. アレルギー増加の原因「衛生説」
環境衛生の発達で、Th1免疫が弱っている?!
現代人の多くが悩むアレルギー
私たちは、「Th2細胞」の働きが優位な状態で生まれてきます。成長に伴いウィルスや細菌がからだに侵入し、Th1細胞の免疫の働きがだんだんと発達し、次第にTh1細胞とTh2細胞の免疫バランスが保たれていくのです。
小さい頃、アトピーや食物アレルギーの症状を持っていた子も、成人するにつれて自然とアレルギーが出なくなったという場合は、まさにこの免疫バランスが整ってきたから、と考えられるのです。
しかし、現代はどうでしょうか?
昔に比べて格段に住環境の衛生は発達したことに加え、身の回りには、“抗菌”グッズや“抗ウィルス”対策の商品があふれています。そのため、細菌やウィルスに感染する機会も減り、十分にTh1細胞の免疫反応を刺激できない状態にあります。
その一方で、大気汚染や食生活の変化などでTh2細胞の免疫反応が促進されています。
本来なら、Th1細胞とTh2細胞から分泌されるサイトカインがお互いに刺激し合い、免疫バランスを保っていましたが、Th1細胞の免疫刺激が弱っている状態では、IFN-γの産生も減り、Th2細胞への抑制もきかなくなっています。
結果、Th2細胞の免疫反応が過剰な状態となり、アレルギーにかかりやすい体質の人が増えているというわけです。
特に小さいうちは、Th1細胞の働きを鍛える大事な時期。過剰な清潔志向を見直していくことも必要ではないでしょうか?
また、体の免疫細胞の60~70%が腸内にいると言われています。そのため、腸内環境を良好に保つことも免疫を強化していくためには重要になります。
そこで注目が高まっているのが、腸内環境を整えるのに役立つ成分たちです。その代表が、腸内で有益な働きをしてくれる乳酸菌などの「プロバイオティクス」、そして腸内にいる善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖の「プレバイオティクス」です。さらに、「バイオジェニックス」と言って、腸内細菌を介さず直接生体に作用し、免疫バランスを整える作用がある麹多糖、ペプチドなどの成分も新成分として注目されています。
日本人の8割がアレルギー体質と言われている今、これらの成分を上手に利用し、免疫バランスを強化していきたいですね!
『「免疫を高める」と病気は必ず治る』 安保徹・福田稔〔監修〕マキノ出版
『安保徹の食べる免疫力』 安保徹 世界文化社
『アトピー・アレルギー克服応援ブック』〔NPO法人〕アトピッ子地球の子ネットワーク