イムバランス情報サイトです。麹菌発酵から生まれた新成分のイムバランスは、免疫バランスを整えます。

アレルギーはいまどこまでわかっている?

東京農工大学保健管理センター所長松田浩珍先生にアレルギーの今とイムバランスの機能性についてお話を聞きました。

東京農工大学松田先生

東京農工大学保健管理センター所長 松田浩珍先生
東京農工大学大学院農学研究院動物生命科学部門 農学部獣医学科獣医分子病態治療学研究室 教授

分子生物学的手法から生化学手法まで多方面からの実験技術を駆使し、アレルギーの解明を進める第一人者。
アトピー性皮膚炎の自然発生マウスモデルを開発し、より人間生活に近いスタイルの実験を可能にしたことで
知られる。大阪府立大大学院修了後、カナダ・マックスター大学医学部で在外研究、さらに米国エール大学医学部で教授をつとめ、現在東京農工学大教授。順天堂大学、早稲田大学の客員教授でもある。

日本人の3人に1人がアレルギーといわれていますが
それは、甘い。80%がアレルギー体質です。

昭和30年生まれを境にアレルギー体質が倍増

日本人の3人に1人がなんらかのアレルギーを発症しているといわれていますが、実は、もっと驚くべき数字があります。
それは、国立成育医療センターが2003年に発表したもので、まだ発症していない人を含めたアレルギー体質の人が、日本では実に80%に達するという報告です。

また、この調査結果では興味深いことがわかりました。昭和30年を境に、それ以前に生まれた人とそれ以降に生まれた人では、アレルギーの発症率が大きく違っているというのです。
昭和10年代、20年代生まれの人はアレルギー体質の割合が40%であるのに対して、昭和30年代以降生まれでは70~80%に増えている。つまり、昭和30年を境に倍増していることがわかります。

昭和30年というと、終戦後、ようやく社会インフラが整備されはじめ、生活が向上し始めた時代。「文化住宅」と呼ばれる、風呂付きで、キッチンとダイニングが分かれたDKのある家が登場し、「三種の神器」としてテレビ・冷蔵庫・洗濯機があこがれの象徴だった時代です。それまで日本人の多くは農業に従事しており、土間で料理を作って食べていましたが、この頃から衛生環境は飛躍的に改善されていきました。

昔の離乳食は、親が噛み砕いて与えていた

当時は、赤ちゃんを育てるにも特別な離乳食といった意識はなく、お母さんやおばあちゃんが噛み砕いたものを与えていました。
そのため当時の赤ん坊は、親からの口移しでピロリ菌をはじめとするさまざまな菌にさらされていました。
しかしこの頃から赤ちゃん専用に調理した離乳食が奨励されはじめ、やがてスーパーなどで瓶詰めの離乳食が販売されるようになっていき、赤ちゃんは“衛生的な”離乳食で育つ時代がやってきます。

住宅を見てみると、それまですきま風が吹いていた木造住宅から、機密性の高い近代住宅へと変わっていきました。そのため、ダニが繁殖しやすい住環境へと変わっていきました。ダニというのは、生きていても死んでいても、アレルゲンとして強力であることが知られています。

さて、「清潔大国」と世界から呼ばれている日本で、アレルギーが増えているのはどういうわけでしょうか?

清潔すぎる環境がアレルギーを呼んでいる。
急激な環境の変化に「ヒトの進化」がついていけない。

牧場の子供にアレルギーが少ないわけは

アレルギーが増加しているのは日本だけではありません。
イギリスでは昔から、牧草の花の花粉によるアレルギー「枯草熱」が知られており、やはりこの50年で急増。いまやイギリスの国民病ともいわれています。このように、先進国では日本と同じく、3人に1人がアレルギーに苦しんでいることが知られています。

一方で、広大な草原が広がるモンゴルでは、現代も昔ながらの遊牧生活を送っている人たちがたくさんいます。モンゴルでも花粉症の原因となる植物は多く、しかも牛のフンを燃料にしているため、フンに含まれるアレルギー物質に常にさらされています。
それなのに、モンゴルの人々にはアレルギーが少なく、アレルギー性ぜんそくの割合は日本の5分の1に過ぎません。

またドイツでの調査研究によると、牧場に暮らす子供にアレルギーが少なく、農家ではない家の子供には多いこともわかりました。
畜産農業を営んでいる家の子供は赤ちゃんの時から家畜小屋に連れて行かれ、動物と触れあって成長します。赤ちゃんにとって決して衛生的とはいえない環境で育った子供にアレルギーが少ないのは、いったいなぜなのでしょうか。

清潔すぎる環境がアレルギーを生んでいる?

こういった世界の研究から、現在では、「清潔すぎる環境がアレルギーを引き起こしているのではないか」という考え方が主流となってきました。
人類は何十万年もの間、あまり衛生的ではない環境で生きてきました。そのため、感染症や寄生虫、吸血ダニなどと戦うための免疫機能を発達させてきました。
ところが、人類の歴史から見るとほんのわずかなここ50年ほどの間に飛躍的に衛生的な環境を手に入れ、寄生虫感染症なども先進国ではほぼ見られなくなりました。

そのため、本来ならば有害な外敵と戦うべき免疫が、害のない花粉などに過剰反応してしまい、引き起こされるようになったのがアレルギーなのです。人類の進化が追いつかないほどの環境の変化に、ヒトの免疫システムが追いついていないから起こった状態といえるでしょう。
とくに生まれたばかりの赤ちゃんは、免疫細胞が未発達で、生後1年ほどで免疫システムが整います。この間に有害な物質をある程度自然摂取する機会がないと、免疫バランスが乱れ、アレルギー体質になりやすいと考えられます。

人類は、科学や医学の発展により、多くの感染症の予防に成功してきました。それと引き換えに、アレルギーという「重荷」を背負うことになったのかも知れません。

ほかにもあるアレルギーの原因

アレルギーの原因として考えられる要因はほかにもあり、先述したダニ、そしてストレスもその一つと考えられています。
会社勤めをし始めたり、転職をきっかけにアレルギーがひどくなるケースは少なくありません。
ストレスも花粉も、現代社会では完全にシャットアウトできるものではありません。これが、アレルギーという疾患の難しいところです。

アレルギー体質は自然に治る場合もありますが、いったんなってしまうと元に戻すのは大変困難です。自然治癒以外で根治できる薬は、現在のところありません。
自然治癒ということで付け加えると、アトピー性皮膚炎の発症は5歳がピークで、その後、およそ半分は自然に治り、あとの半分は治癒が困難です。どのようなメカニズムで治ったり治らなかったりするのかは、いまのところまだ解明されていないのが現状です。

アレルギーの原因を遠ざけるには

ただ、アレルギーの原因物質をできるだけ遠ざけることはできますね。たとえば花粉症ならマスクをしたり、花粉を家に持ち込まない工夫をする。ダニ対策なら、通気をよくし、布製のソファやカーペットなどを排除するなどです。

ダニが最も繁殖しやすいのは布張りのソファ。座っている時間が長いために汗やアカが着いたり、食べこぼしが付着したりしてダニの温床になりやすいのです。次いでダニが多いのはカーペット、そして布団、枕、クッションなどがダニの棲家となります。

布団や枕などを天日干しする方が多いのですが、干すと花粉が着くこともあり、叩くとダニのフンや死骸が舞い散って、それを吸い込んでしまうことになってしまいます。
おすすめしたいのは乾燥機。ダニはマイナス20℃でも生きていますが、高温には弱く、50℃くらいで死滅します。死骸もアレルゲンとなりますので、乾燥機をかけたあとは掃除機で吸い込んでください。
このような環境整備は、アレルギーを治癒できなくても、発症をやわらげる効果はあると思います。

アレルギー体質改善のヒントが見つかりはじめた。
そのキーワードは「発酵」。

体質改善からアレルギーを緩和する新しい試み

根治というものが難しく、またその原因をまったく排除することも難しいアレルギーは非常にやっかいな疾患ですが、最近になって、生活習慣や体質改善からアプローチしようという研究が進められています。そのキーワードになるのが「バイオジェニックス」です。

「バイオジェニックス」とは、発酵によって産み出される「発酵産物」を健康に役立てようというもので、いま世界的に注目されているのがこの発酵産物なのです。
たとえば納豆を作るには、大豆に納豆菌を植えつけて発酵させますね。このとき、大豆は菌によって分解・代謝され、それまでになかった新しい物質を作り出します。これが発酵産物です。

この発酵産物には多種多様な多糖類やペプチドなどが含まれ、複合的に体に有効な作用を発揮すると考えられています。
昔から日本人は、味噌・しょうゆなどの発酵食品を多く食べてきました。最近ではみそ汁をほとんど飲まないという若い人が増えていますが、日本人の生活環境の変化の中に、この「発酵食品をとらなくなった」というものを含めてもいいのではないでしょうか。

「発酵」は、医療や健康の分野において今世紀のキーワードとなると、私は考えています。

体質改善は「胎児の時代」から

発酵食品といえば、日本では麹菌発酵による味噌・しょうゆ・納豆、植物性乳酸菌発酵の漬け物などが思い浮かびますが、ヨーグルトも乳酸菌発酵食品です。

ここで、2001年にフィンランドの研究者によって発表されたセンセーショナルな研究結果をご紹介しましょう。
その調査とは、アトピー素因がある妊婦さんに対し、出産の2~4週間前から母乳で育てる生後6ヵ月までの期間、1日100億個の乳酸菌をとってもらうという調査です。その結果、乳酸菌をとっているグループでは、子供が2歳に成長したときに、アレルギーの出現が半減していることが明らかとなりました。
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ここで重要なのは、お母さん本人のアトピーは改善されなかったにもかかわらず、子供の発症率が下がったという点です。
赤ちゃんは生後1年くらいまでに免疫バランスが決まるのですが、お母さんの体質改善がいかに重要かがわかります。
実際に患者さんを診てみると、お母さんがアレルギーだとお子さんもアレルギー体質であることが多いと感じられます。
今後妊娠・出産を考える女性は、ぜひ、普段からプロバイオティクスで体質改善を心がけていただきたいと思いますね。

アレルギー体質が改善される可能性

これまでお話ししてきたように、アレルギーはいったん発症すると根治しにくい疾患です。
しかし、いわゆる「プロバイオティクス(乳酸菌などで腸内の善玉菌を増やして健康に役立てる方法)」や、「バイオジェニックス(発酵産物を利用して健康に役立てる)」が、アレルギーになんらかの効果をあらわすことが次々とわかってきました。

アレルギーは現代医学では根治が難しく、対処療法として広く使われているステロイド剤も長期に使用すれば副作用が心配されます。ですから、「毒にならないもの」で、長期に体質改善をめざすという方法は、たいへん重要だと思います。

そういった意味で、ニチモウバイオティックス社の「イムバランス」という新成分は、大変可能性の高い健康成分だと思いますね。
まず、発酵が「麹菌発酵」とそれにともなう「乳酸菌発酵」のダブルであるため、より多様で複雑な「発酵産物」が含まれているはずです。また、日本人が昔から食べていた大豆と麹菌から生まれたという点も、日本人の体質に合っているといえるのではないでしょうか。

こういったイムバランスのような健康成分を「オーガニックドラッグ」と呼びたいと、私は考えています。

発酵による新成分「イムバランス」の研究結果

2010年、私たちの研究チームでは、ニチモウバイオティックスから提供された新しい発酵産物「イムバランス」について実験を行いました。これはわれわれが開発したアトピー自然発症マウスを使っての実験ですが、市販外用薬(塗り薬)と「イムバランス」投与の比較を行いました。
アトピー自然発生マウスを使っているため、塗り薬と「イムバランス」をエサに与えるという、普通にヒトが行うパターンと似た環境で研究を行うことが可能となっています。

その結果、アトピー性皮膚炎の抑制効果は、市販外用薬(塗り薬)とほぼ同様の効果があることがわかりました。
イムバランスのアトピー性皮膚炎の改善効果、プロトピック軟膏との比較

また、アトピー性皮膚炎に多い皮膚の乾燥についても、塗り薬には及ばないものの、かなりの効果が認められました。
イムバランスの表皮水分蒸散量の改善

次のグラフはかゆみによる「引っ掻き回数」を表したものですが、「イムバランス」を与えたものでは、症状が起きてからも引っ掻き回数がほとんど増えていないことを示しています。
イムバランスの引っ掻き回数の改善

このように、私たちの治験でも「イムバランス」という発酵産生成分にはアレルギーに対して有効な効果が認められると考えられます。
大豆から麹菌発酵、乳酸菌発酵させて産出される未知の成分に、私たちアレルギー研究者も期待しています。

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